すべてを手にできるのは、気分と視座をコントロールできる人
先日ご紹介した本を読んだので、感想をまとめてみました。
SAIKO先生の感想を考察して、思ったこと
SAIKO先生はメルマガ(2016年7月13日 vol.1202)の中で、こう書かれていました。
2016上半期ベストセラーの17位に、藤由達藏著『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』があります。この本も良いですが、同じ著者が書いた『結局、「1%に集中できる人」がすべてを変えられる』こちらの方が、私は面白かったです。
SAIKO先生の「色彩のラブレター」 2016年7月13日 vol.1202
この感想を受けて、私はまず、『結局、「1%に集中できる人」がすべてを変えられる』から読み始めました。
ところが、SAIKO先生が面白いと思うほど、私の胸は踊らない…(ワクワクしない)。首をかしげながら、『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』を読み始めたら、こっちは面白い。
そこでふと思ったことがあります。
SAIKO先生のフットワークはすでに軽い
メルマガの初号から購読している私は、TCカラーセラピーをどう成熟させ、どう発展させていくのかを模索されている先生を、メルマガや提供された講座などを通して見つめてきました。その後、ご自身の健康を見つめ直し、大会で結果を残し、トレーナーのお仕事をスタートさせた今日も含めて、陰ながら見守って?います。
ベストボディに傾倒されていく様子が、メルマガでも日に日に増えていくことに、ほんの一時戸惑ったことがありました。でもその戸惑いは、嫉妬が招いたのだろうと今ならわかります。自分のしていることをオープンに語り、オープンに語ることで有言実行していく様は、持たざる私にとって、あまりにもカッコ良すぎました。
TCカラーセラピーというシステムを構築できたことも、ベストボディで結果を残せたことも、SAIKO先生にとっては、同じことなんじゃないか、と思います。やり始めたことを形にするまで続けられるんです。
それはまさに、『結局、「1%に集中できる人」がすべてを変えられる』の中にある
10秒で行動できる人は、「行動してしまえば、あとは楽」ということを知っている
p.60 『結局、「1%に集中できる人」がすべてを変えられる』 藤由 達藏
の、「行動できる人」にほかならないな、と思いました。同時に、やり始める(一歩を踏み出す)ことへのハードルが低いんだろうなぁと、フットワークの軽さも感じました。
『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』に書かれていることは、どうしたら「すぐに行動できるか」なんですよね。すでに「すぐやる人」になっているSAIKO先生にしてみたら、そりゃ新しい知識は得られないだろうと納得してしまいました。
始めることへのハードルを常に感じている私にしてみれば、集中できる状態を作るよりも、まず行動できる人への一歩を踏み出す方が先、という話でした。
たしかに、たしかに、たしかに…がたくさん出てくる本
2冊に共通しているのは、至極真っ当で当たり前のことが書かれているとことです。それはド正論と言ってもいいくらい。にもかかわらず、「わかってるよ!そんなこと!」と腹をたてず、「そうだよな〜、たしかにな〜」と読み進められるのは、著者の表現(説得?説明?)に依るのでしょう。
とくに、『結局、「1%に集中できる人」がすべてを変えられる』で畳み掛ける「〇〇を手放す」の列挙は圧巻です。
厳密に言えば、目の前にあるたった一つのことしかできないので、その瞬間、それ以外のすべてを手放さざるを得ないんですが、行動できない人にその理屈は難しい。
だから、あれもこれもそれも、こんなことまで手放しちゃうの?という「視座の転換」を与えてくれます。それは、行動する勇気をくれているとも言えそうです。
「視座の転換」は「気分」と共に、藤由さんが頻繁に主張する、行動するためのキーワードです。
常に意識させられる、自分以外の人とのかかわり
ひとりでやらない、ひとりじゃないは、この2冊の裏テーマに思えました。言葉のはしばしに、他者の存在が見え隠れします。藤由達藏さんが「視座の転換」について語れば語るほど、他者の存在を意識させられるんです。
この2冊には、会社で仕事をしていることを前提にした具体例が多く登場します。仮に社長一人の会社だったとしても、仕事について考えるとき、他者が存在しないなどありえませんよね。他者に何かしらを提供し、他者からお金をいただくのが仕事ですから。
私は著者の職業である「コーチング」のなんたるかをほとんど知りませんが、アドラーの共同体感覚はひとつのベースなんだなと受け取りました。
著書の中では、アドラーの共同体感覚について、こう説明されていました。
1、自分が好き(自己受容)
2、他人は信頼できる(他者信頼)
3、人の役に立っている(他者貢献)
『結局、「1%に集中できる人」がすべてを変えられる』 藤由達藏
どうしたら他者を信頼できるのか、どうしたら他者に貢献できるのか、それを叶えるツールが藤由達藏さんのいう「視座の転換」なんだと思いました。視座とは、視点と立場です。
「自分が好き」を促進させるために重要なのが「気分」のコントロールなんだと思います。
先述の「〇〇を手放す」の中でも「自分の視座を手放す」が出てきます。自分から見える視点、自分の立場を手放そう。他者の視点から物事を見てみよう。他者の立場から考えてみよう。
『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』では、いかに周囲を巻き込んでいくのかが、丸っと1章使って解説されているほどです。
読書メモ「10秒という絶妙な長さ」
私には、「すぐやる人」本の方が、役に立ったと書きました。その一番大きな理由は「10秒」という時間です。なるほど確かに、行動の前に10秒も考える猶予を持つなら、私にもできるかもしれないと思えたのです。
話は変わりますが、1年ほど前に「ドクターエアのエクサガン」を衝動買いしました。かねてから腰痛やら首肩のこりに悩まされていたので、これがあったら絶対楽になる!と、店頭で試したら居ても立っても居られませんでした。
で、使い方指南の中に、「10秒以上同じところに当てない」とあるんです。そんなの無理〜と思いながら日々適当に使っていたのですが、あるとき、きっちり時間を測ってみようと思い立ちました。すると実際には、同じ箇所に5秒当てるだけでも長く感じることがわかりました。
体で感じてみると、10秒って結構長いです。
筋トレとか、時間を測りながら体を動かし慣れている人ならわかってくれるのではと思います!
「すぐやる」のすぐを、瞬時に秒速で、みたいに感じがちですが、10秒あると思ったら、私にもできそう!と思えました。
グリーンとコーラル/テーマカラーを選んでみる
「すぐやる」とか「行動力」と聞いたとき、一番に浮かぶ色といったら、「レッド」でしょう。でも、この兄弟のような2冊を通して感じる色は、どうも「レッド」とは程遠いのです。常にアクセル全開でぶっ放せ!みたいなノリが1ミリもない。むしろ、自分の気分(やる気)をコントロールし、視座の転換で俯瞰してみる意識をもつ、などは、「レッド」の補色である「グリーン」の領域に他なりません。
「レッド」には、イエロー=個人の要素がひとつもないので、ブルーとは違った意味で、自分と相手を分離して感じる感覚はないはず。自他を同一化してとらえる感覚は強いように思います。本能的だし、エネルギー全開だし。
すでに指摘したように、この2冊には「ひとりじゃない」という裏テーマが存在するので、やっぱりレッドでは、その同一化気質に違和感がある。むしろ、問題や課題と同一化して視野を曇らせることなく、10秒で俯瞰する意識を持とうと訴えているとすれば、パノラマ視点のグリーンがメインテーマとして浮上します。調和を重んじるグリーンは、他者との距離感についても適切な感覚を保てそうです。
ではグリーンだけで、この作品が表現できるだろうか?と考えた時、それではちょっと物足りなさを感じました。そこまで大人しくはない…というのか…。やはり、レッドのもつ強い実行のエネルギーや、個であるイエローについても、もう少し主張があってもいいと考えました。
そこで浮上したのが、コーラルです。
個=自分がいる、ということは、自分じゃないものがいる、と常にセットです。影があってはじめて光の存在がわかる(もちろん、逆もありき)ように、分けては考えられない。生き物としてのコーラル=珊瑚が、お互いを支え合いながら生きているように、何をするにせよ、自分ではない人を切り離しては行動できない、の根拠として挙げられている(と思われる)「他者信頼」や「他者貢献」は、コーラルに集約されている気がします。
信頼や貢献のキーワードだけで考えると、ブルーよりのイメージもありますが、メインテーマのグリーンにその人本来のエネルギーを注ぐ役割を踏まえると、他者との関係に関わりのあるコーラルが相応しいかなと思いました。
読書メモ
『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』から
- 10秒で決断する
- 行動力は気分で決まる
- 自分でコントロールする
- やる気、表情・動作・言葉、で変える
- 思い出す、想像する、環境、で変わる
- ゴールへの道筋も描かれた見取り図が重要
- 現在→問題→必要なこと→やること→ゴール を見える化
- 考える:解決のために頭を使うこと
- 悩む:行動に結びつかないように考える
『結局、「1%に集中できる人」がすべてを変えられる』から
- 行動の5原則
- 行動がすべてを変える
- 自分の行動しかコントロールできない
- 今しか行動できない
- 一度にひとつしか行動できない
- 小さな単位でしか行動できない
- 今できないことではなく、今できることにフォーカスする
- 4要素を一貫させる
- 思考、感情、言葉、行動
- 混乱が実行力を萎えさせる
強い言葉は仇となる…か?
2冊を通して、ひとつだけ残念に思ったことを、最後にちょこっと書いておきます。
それは、ネガティブな印象を受ける言葉が目にとまること、です。
タイトルもそう。結局、と言われたら、「結局、すぐやらなければ、手に入れられない」し、「結局、集中できなければ、変えらない」に聞こえてしまう。いや、そう言いたいんだとは思いますが…。
『「すぐやる人」はすべてを手に入れる』とか『「1%に集中できる人」はすべてを変えられる』だと、前向きな印象を感じられると思うんですが…。
行動の5原則にしても、できない、が羅列されますし。「行動できない」ってたくさん言われると、できない気になってくるんで…。
- コントロールできるのは自分の行動だけ
- 行動できるのは今だけ
- 一度にできる行動はひとつ
- 行動できるのは小さな単位のみ
とかなら、背中を押されている気になれると思うんですが…。
ま、危機感を煽るのは、販売の常套手段ですから、タイトルは特に、仕方ないかな。
結局、私自身、このタイトルを見て「やばい!私すぐやれてない!集中できてない!読まなくちゃ!」って思っちゃったんでした。