本当の伊能忠敬を私たちは(たぶん)知らない

メールマガジン【SAIKO先生の「色彩のラブレター」】2016年1月30日 vol.1037 テーマ「人生はいつだってやり直せる」の中で、日本地図を作った伊能忠敬さんに触れるお話がありました。
実際のメールマガジンの内容はSAIKO先生のブログ記事に掲載されています

そこで思い出した、映画を1本、ご紹介したいのです。
2022年公開『大河への道』

伊能忠敬の生涯を描いた映画『大河への道』は、私にとっての2022年ベスト1映画です。近年、こういう丁寧な映画に出会うのは、はっきり言って難しい。
伊能忠敬記念館のある、千葉県香取市役所の職員さんが、伊能忠敬さんを主人公にした大河ドラマを作ってもらおうとする…ところから、物語が始まります。
公式サイトに描かれているので書いてしまいますが、伊能忠敬さんは地図を完成させる前に亡くなっています。それでも、日本地図を完成させたのが伊能忠敬さんであるとされる背景が、語りのプロである立川志の輔さんによって描かれた原作の映画です。

伊能忠敬さんの意思を引き継いだ人々が伊能忠敬さんの功績として日本地図を完成させていたことを私は知りませんでした。
どう語れば聴衆をひきつけ、たのしませ、おどろかせられるのかを、日々実践している人が描くと、こんなにもストーリーはおもしろく描けるのか…と感嘆せずにはいられません。
もちろん、この原作と丁寧に向き合ってくださった脚本の森下佳子さん、監督の中西健二さん、俳優さん、スタッフさんがいてこそです。これを映画化しようと企画した中井貴一さんの存在も忘れてはいけませんね。
伊能忠敬さんの伝記も、日本地図が作られた歴史も、映画を見るというエンターテイメントも、これ1本で楽しめてしまう最高に面白い映画でした。
鳥肌がたった草刈正雄さん
この映画で私が一番心震えたシーンは、出演シーンの限られている草刈正雄さんの一言でした。生身の人間が演じてみせる意味を、ここにみた気がしました。
例えば音楽で、背景のCGで、あるいはセリフで、立場や権威を演出することはできるでしょう。でも、そういうことじゃなかった。草刈正雄さんの全身から放たれるあのエネルギーは、まさしく役者・草刈正雄さんにしかできない演技だったろうと思います。
いや〜本当にしびれました。
夫を支える妻、ここにも
松坂桃李さん主演の『雪の花-ともに在りて-』でもそうでしたが、なぜこうまでして、妻は夫を信じ支えられるのか…。江戸時代が舞台だと、こういう夫婦が多く描かれるなぁ…と感じるのは私だけでしょうか?
男性にとっての理想の妻像でしかないのか=フィクションとして脚色されて描かれているのか?でも妻の協力がなかったら達成できないだろう場面の多さが、脚色性を失わせる。理想の夫像を夢見る妻の立場からしたら、信頼を寄せるられるだけの立ち振る舞いが、彼らにはあったのだろうと思いたい。
こういう映画を見ると、一部の男性に「そうだやっぱり女はこうあるべきだよな」って感じる人がいそうだ。同時に知っていて欲しい。信じて支えるに足る夫だからこそ、妻はそうしているのだ、ということを。あなたのパートナーがもしこうでないのだとしたら、あなたがそうでないから支えてもらえないのよ、と。
おっと、話がえらい方向に飛んでしまいました。ごめんなさい。



閉鎖的な日本人の悪いところが、東洋医学の中に西洋医学を取り込むことの困難さを通して見せられる。描いたあるべき姿へ突き進んでくれた、そこで生きている市井の人々に感謝の溢れる映画です。
ロイヤルブルー/ゴールド(テーマカラーを考える)
ひとつのことを成し遂げていく様をロイヤルブルーに、ユーモアを通して描かれたことをゴールドに、託してみたい思います。
ロイヤルブルーに、「私」のイエローは含まれていません。「みんな」であるブルーに、少しのレッド。一般的にレッドはこういう言われ方をしないけど、なんとなく「集合意識」とか「無意識」みたいなものを感じます。
日本地図を完成させた、という視点から考えてしまうとバイオレットを選びたくなりますが、少なくともこの作品で描かれている伊能忠敬さんは、使命感だけに突き動かされたということではなく、盲目なまでの本人の意志に軸足があるように見え、かといって個人の興味(イエロー系)にとどまるものでもない…。イエローがスタートだとしたら、あの行動力の源を説明できないように思います。
同じようにブルーでも、ちょっとレッドの本能的な意志が物足りないので、ロイヤルブルーかな、と思いました。
映画全体を考えてみた時、オレンジほどの素直な喜びの感情というよりは、もう少し頭も楽しんでいる感があるので(知識欲にも効くので)、ゴールドかなと。



ロイヤルブルーとインディゴは同義です。ロイヤルブルーという響きが好きで使っています。
伊能忠敬さんをどう思っていても、「面白い映画」が見たい人にはおすすめです。